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ゴーン、ゴーン、ゴーン
鐘が鳴った。時計は9時10分前を、指している。どうやら合図のようだ。
ホールには全員が集まり、椅子に座っていた。
『ハ~イ。全員カードヲ所持シテイル様デスネ~ デハ、ゲームヲ開始シマ~ス。時間ヲ10分与エマスノデ最初二2名指名シテ下サ~イ』
「……おい、どうする?」
友也がズレた眼鏡を直しながら言う。
「決まってんじゃん。私は、翔太と花江を指名する」
両腕を伸ばし、二人に指を指したのは美咲だった。彩香にとっては、クラスで関わることが少なかったが、彼女が指名した花江を中学校の時からいじめていることは知っている。
「なんでよ!」
花江が叫びだした。
「なんでいつも私がこんな目に合わなきゃいけないの!」
花江は美咲に訴え続けた。目には涙が溢れている。
「は? 花江のくせに私らに逆らうわけ?」
人が変わったように花江を睨みつけた。
「……」
「それにあんたが負けなければいい話でしょ。まだ、本当に死ぬって決まったわけじゃないし」
遠目で見ていた楓が声をあげる。
「何も言わないってことは決定で良いよね」
美咲の一方的な語りに辺りが沈黙した。
『誰ヲ指名スルカ決メマシタネ』
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