一日目

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「俺らは何をすればいいんだ?」 「全員が指を同時に指せばすぐ決められる」 誠が言った。誠はクラスでは学力トップの成績だ。頭の回転が早く、さすがだなと彩香は思った。 「早くやろう。どうせ票が集まるのは花江なんだから」 花江はもう何も言わない。大粒の涙を流し続けていた。 「せーの!」 健の掛け声とともに全員が腕を上げる。 全員の腕が花江を指した。 『二名ガ指名サレマシタ~』 全員まだ腕を上げたままだ。指された花江は腕を上げたまま下を向き泣き続けていた。 『指名サレタノハ花江サン、結衣サンデ~ス』 彩香はすぐに結衣の方を見る。彼女は目を見開いたまま、固まっている。結衣の正面に座っているのは花江。花江の腕が結衣の方向に伸びていた。 「……嘘……」 『デハデハ花江サン、結衣サン、円の中心ヘ』 結衣が持っているのはクローバーの3。3が勝てるカードは無い。最悪の結末が彩香の頭によぎった。 『ソレデハ、持ッテイルカードヲ出シテ、全員ニ見セテ下サ~イ』 二人はゆっくりとカードを取り出す。同時に、カードを表にして身体の前に差し出した。ホールにいる全員の視線が集まる。 差し出されたカードはハートの7とクローバーの10。 「……私の勝ち」 言ったのは、結衣だった。 直後、花江の身体が後ろに反り返るように倒れ、首を抑えて叫び出す。 「あ、あぁぁぁ!!!………」 床で暴れまわる花江の身体がピタッと止まった。 「は、花江……?」 楓が花江を触れた瞬間 「うわぁっ!!」 倒れていた花江が楓に飛びつき、再び床に倒れた。倒れた花江の身体が痙攣して不気味な動きをしている。 「まさか、あの首輪が……」 そう呟いたのは翔太だった。彼の肩が震えている。 「……おい、嘘だろ?なぁ、嘘だと言ってくれよ」 誠が取り乱す。祐介がおどついて、 「……一度みんな落ち着こう」 「ッテメェ、ンなことできるわけないだろ!1人死んだんだぞ!これで落ち着いてられるオマエは普通じゃねぇ!」 和也が祐介に反発する。そんな時、急に 『ヤッパリ人間ハモロイデスネ~』 「…う、うるせぇ!本気何なんなんだよテメェは!」 和也が椅子を蹴り倒して叫ぶ。 「和也落ち着けって言ってるだろ!」 健が後ろから和也を押さえつけた。
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