3時間の視線

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昔からデッサンは得意だった。たいていのものは一度見れば、それを具現化することができる――、だからこそそれが、諸刃の剣になる事も、自分自身がよく知っている。 (僕はっ……) 鎖につながれた手で、浅ましく屹立した自分のものに触れる。血管を浮き上がらせた己の欲望を右手で握りしめて、上下にさする。 ずっと憧れていた、その人の前で。 脚を大きく開いて、淫らに堕ちていく様を全部晒して。 「……あっ、ぁっ……」 喘ぎ声が口を割る。 耳を塞ぎたかった。けれどそれすら許されない。 先走りの蜜が、先端で雫を作り始める。それもすべて隠せない。 「悦いのかい」 「あ、っ」 「言葉にして、伝えなさい」 「いいっ……」 言葉にした途端、また涙がこぼれた。 はしたない言葉を伝えて、身体の有様を全部教えて。 「空いている手で、ちゃんと乳首も弄りなさい。その爪の先まで、君ならちゃんと想像できるだろう」 「……ぁっ、あぁ、いや……、だ」 「怜、想像しなさい」 恐る恐る、頭の中で描く。 右手は屹立したものを弄りながら、ぷっくりと立った乳首を、左手の爪先でひっかく。 「ぁっ、……っ……」 愉悦が腰の奥に入る。咄嗟に口を噤んだ。
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