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「……っ、もう、やめてください」
耐えきれなくなって、溢れる。言葉も、感情も、涙も。
浅ましいと思うのに、昂ってしまったそれが、今度は苦しくて、つい手を伸ばしてしまいそうになる。
「怜、触れては駄目だ」
「せん、せいっ、……」
「最後まで責務を全うしなさい」
――君はモデルだろう。
厳しい口調で言われて、緩みかけた腕を元に戻す。
時間内は、一定のポーズを崩してはならない――それが決まりだ。
分かってはいた。
けれど、触れたい。触れて、この身体にくすぶる熱を開放したい。
耐えきれなかった。
自分を支えてきた土台を、足を。全てをもぎ取られたように矜持が崩れ落ちていく。その破片すら視線に射貫かれて、粉々に散っていく。
「触らせて、くだ、さい……」
「駄目だ」
断ち切られて、よりいっそう下肢の熱量が増す。
内腿を小刻みに痙攣させながら、無意識に手が伸びる。
「怜」
「……っ」
「言っただろう、絶対に触れてはならないと」
「……っ、でも」
「ここで見ていていあげるから、想像して達きなさい」
「先生っ……」
信じられずに、唇が震える。
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