3時間の視線

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「男性だって後ろで感じられる。神経が張り巡らされていて、きちんと快楽を得ることができる」 「……っ、せん、せい」 「足りないのなら、私の指を使いなさい」 もちろん想像で。そう付け加えて。 信じられない思いで、怜は阿賀野を見つめた。 そんな事は、おぼろげな知識しかないし、経験したこともない。 何より憧れていたその人の指を、自慰行為の想像に使うなんて。 しかも彼の、その目の前で。 「汚せ、ません……」 それだけはできなかった。 矜持が震える。 もう自我を保てるほど形をとどめていないそれを、これでもかというほど砕いて、この人はこれ以上、何を奪うのだろう。 「汚してかまわない、もっと欲しいんだろう」 「できま、……せん」 「汚しなさい」 「……っ、いや、です」 「怜――」 頑なに拒絶をしていると、阿賀野が絵の中にそっと口づけを落とした。 心臓を貫かれたようにして、怜は目を見開く。 「怜、愛している」 流し目に見つめられ、呼吸が止まる。
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