3時間の視線

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紙の中に落とされた口づけが、まるで連動して伝わる様に、唇を撫でる――啄む。 一時の時間差で薔薇の香りが頬を掠め、胸の奥で何かが堰を切ったかのように騒ぎ出した。 どこまで、この人は追い詰めるのだろう。 本当かもわからない、愛の言葉を囁いて。 見つめ返すと、阿賀野の瞳の奥で笑みが揺らめく。 「君の閉ざされた、つぼみを開こうか」 「やめて、くだ…さ……」 もうこれ以上ない所まで、身体を暴かれる――、精神に入り込む。 阿賀野の手が双丘をたどり、その谷間に向かって這っていく。そして秘所へたどり着いた手が、人差し指と薬指を使って、左右に窄まりを開く。 「ぁっ…いやっ……」 強制的な妄想に引きずり込まれ、全身が愉悦に粟立つ。 早く熱を開放したかった。だけど、こんな形でなど望んでいない。 ――それなのに。 「咲くのを嫌がる花の弁をめくろう。重なったそれを一枚ずつはがして、指を挿れて、蜜を求める蝶のようにそれを啄むんだ。――怜、いま君の身体はどうなっているんだい」 「やめっ……」 イメージが刷り込まされる。 あまりの羞恥心に、涙がこぼれる。 赤い内襞が見えるそこへ、中指が宛がわれる。爪の先が境界を割り、身体の中に――。 「……っ、ゆびが……」 涙交じりに言葉を紡ぐ。 抽象的な言葉で綴られようとも、想像するのはたやすい。 阿賀野の言葉に反応して、幻影の指を受け入れた後孔が収縮を繰り返す。
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