1 謎だらけの 久城 藍斗

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それぞれ会費を払い店を出たのは、あれから一時間半後の事だった。 ピンクのヒールをカツカツ言わせながら先に歩いていた立川さんがふと立ち止まり こちらを振り返ると自慢のアイドルスマイルで「お疲れ様でしたぁ~」と語尾を伸ばしブリッ子しながら 駅構内へと消えていった 挨拶して消えるの早っ! そう思いながら他の人はどうするのだろうと観察していると… 他の女性社員は各自 帰りだし 残った男性社員と部長は二次会だと騒ぎ始める もはや誰の歓迎会なのか 既に分からなくなっている状態で…会費も払わされたし… ハァ…どっと疲れた 私も帰ろ…… 上司や部長に頭を下げ帰り道を歩き出して5分余り…突然 私は次第に胸焼けがしだしたかと思えば 頭もガンガンと響くような痛みに襲われる …やっぱ少し飲みすぎたかな…… 勧められるままにビールを4杯、焼酎を3杯、そして日本酒を3杯と呑んでしまった私は 緊張が解れたのもあり、そして…いきなり体を動かした事で今更ながら酔いが身体中を回って来たみたいだ …うっ 気持ち悪い…… だが、こんな場所では吐けないし… 家まで後、15分… 耐えられるか私… 腰を曲げながら歩き出し、途中途中で吐き気で立ち止まりながら、ようやく後 少しまで来た矢先に… もう限界まで達してしまった私は もう一歩も歩けず… 道端で踞る。 そんな私に誰かが肩を叩いてくれ… あぁ… 救いの手が… 私に…… そう思った瞬間だった 「おい、そんなとこで何してんだよ」 私の頭上から聞こえて来たのは、今一番 会いたくない… できれば 避けたい人物… 久城君だった …うわ、最悪…… 吐き気我慢しながら 久城君にだけは見られたくないと必死に 体を丸くさせる 「おい…… 何して…って 酒臭っ! あんた、酒呑んでんのかよ」
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