1 謎だらけの 久城 藍斗

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やらかした 完全に、やらかした!私は貯金通帳の残高を確認し ハァァ… その額に激しく溜息を吐き、肩を落とす 引っ越しやら移動費やら 家具やらで 大金を使ったばかりの私の貯金は… 《60000》しかないのだ やばい… 非常にやばい 代替えと言っても… 数千円じゃ納得してもらえないだろうし 3万は覚悟しないといけないのかな… でも、残りの3万で次の給料日まで繋げなきゃならないのか… 後 4週間もあるのに… 節約しなきゃ… 通帳を閉じると 目を閉じ机に顔を伏せた ・・・・・・・・・・ 《そして日曜日…》 予算3万円、予算3万円… 呪文のように心の中で唱えながら某有名なショップが建ち並ぶショッピングモールへやってきた私と久城君 久城君の二歩後ろを着いて歩く… 「おい、ここ入るぞ」 「は、はい!」 まるで執事の如く、私は久城君の言われるまま ある 靴専門店へと足を運んだ 靴がズラリと店頭に陳列され 周りをキョロキョロ見渡すが、気になるのは値札のプレートばかり 安くても5千円からしかない、この お店に私の思いは先行きを不安にさせるばかり… 一通り見て回り…久城君はいくつか履いてはみたが シックリくるものがないらしく かれこるれ一時間も店内を物色している お昼近くになり、そろそろお腹も空いてきたし…そろそろ決めて欲しいが… 「久城君、決まったら連絡くれないかな… 私…お腹空いちゃって…」 まだまだ、かかりそうだし 私は 久城君が決めた靴を買うだけだから 別にここに居なくてもいいよね 私は自分の携帯番号をメモした紙を久城君に渡そうと手を伸ばす しかし… 久城君は鋭い目付きで睨み…… 「は?何様だよ、お前」 そう吐き捨てた。 …… 怖い。オッドアイで睨み付けられたら何も反論できなくて… 「あ、そうですよね。一人だけ昼食を摂るなど許されるわけないですよね…」 たじたじになりながら、メモを持った紙を引っ込める… あぁ… 何なのよ…もう! そして再び靴選びへ付き合わされる事となったのだ
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