10 すれ違う想い(神橋奈央)

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********  「‥‥怖いんだ‥」 しばらくの沈黙の後、絞り出すように言葉を口にした久城君は私の方へ向き直るとギュッと抱きついてくる 受け入れるように私も、その背中に手をまわし、ゆっくり背中をさする  「何が怖いの?」  「‥女に裏切られるのが怖いんだ。俺の母親のように裏切られたらと思うと好きになったりするのが物凄く‥怖い‥‥ だから俺は体の繋がりしか求めないようになった。でも‥‥どこか虚しくて、、体を重ねる事に自分が嫌になっていく‥‥ 」  「久城君、それは普通の事なんじゃない?私は恥ずかしながら何年か前に別れてから、そんな行為はご無沙汰だけど、もし仮に久城君の立場だったら私だって自分が自分で嫌いになると思う。何してるんだろうって嫌になる」 穏やかに語りかけるように久城君へ話し‥ ギュッと抱きしめた  「‥でも俺は無理なんだ!どうしても好きになれない‥女を自分の母親に見立ててしまうから‥‥」 苦しそうな声をあげながら肩を揺らす  「久城君‥‥ 大丈夫‥ きっと大丈夫だから‥‥」 久城君の悲痛な心の叫びを初めて聞いた。 私に何ができるわけじゃないけれど‥今みたいに辛い時は私が側にいることくらいならできるはずだから
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