第1章 氷姫のあられもない秘密

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そいつは同じ大学の同じ学部(てことは俺とも一緒だ)、多分同級生。複数の授業で顔を合わせる機会があったので向こうから声をかけてきて(つまり、ナンパ)知り合いになった。二人で約束して大学の外で会ったその日のうちに関係を持ったという。俺は表情に出さないよう必死に努めながら内心で半端なく驚愕する。なんて剛の者なんだ。 俺なんかにはとてもじゃないけど。こんな冴え冴えと冷たい雰囲気の女性にそんなこと。切り出す勇気もない。 まあ、場数を踏んだ奴にはそこら辺の見極めは何かコツがあるんだろう。頬を張られることも大声を出して街中で人を呼ばれることもなくそいつは自室に彼女を連れ込むことに成功した、と。そういう成り行きだから当然好きだも付き合って下さいもない。何の約束も交わしてないし火宮には全然そんな気はなかった。 「悪くはないけど特別どうってこともない。うん、わかった、って感じだった。だから面倒なことになる前にそろそろ距離置くかって。…そう思ってたのをまるで察したみたいなタイミングで」 部屋に入るなり服を脱がされ、手錠をかけられて椅子に縛り付けられた。そしていわゆる大人の玩具で。     
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