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――これまでかよ!?
思わず目を閉じるルワンであるが、スレイドラの兇弾が火を噴くことはなかった。
代わりに、
「ケケェ――――――!!」
と、またしても金切り声が聞こえたと同時に、スレイドラはその場所から吹き飛ばされていた。空中から奇襲を掛けたセレイの足爪による見事な蹴りが決まったのだ。
「ルワン!!」
名を呼びながら、セレイはそのまま滑空、今度は敵機関銃の後方に回り込み、慌てふためく御者を蹴り落とし、その勢いのまま、呆然としたままのルワンの元に駆けつけると、猫少年の両肩を両足の足爪で掴み、そのまま飛翔する。
「おい、無茶をするな!?」
状況が理解出来たルワンの言うとおり、これは無茶と言える行為である。そも、まだ子供であるセレイが、同じ年頃とはいえ人を掴んで飛ぶには、まだ無理があるのだ。
「無茶はお互い様でしょう!? さっきの相談に、アンタが残るなんて聞いていないんだから……」
案の定、速度は落ちるものの、それでも、セレイは必死にその幼くとも大きい翼を羽ばたかせ、リラの後を追った。
当然、その前方ではディアブラが二騎の脚甲騎を相手に大立ち回りを続けている。
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