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しかし、ルワンをぶら下げた今のセレイは、これ以上高く上昇することはおろか、急旋回で避けることも不可能に思われた。
その時、ディアブラが敵機から大きく離れた。
執拗に攻める鎚矛騎と小型機に体当たりを仕掛け、二騎を大きく吹き飛ばしつつ、自分もそのまま後方に飛び退き、距離を取ったのだ。
その瞬間を、セレイは見逃さなかった。
「行くよ、ルワン!」
「おい、何をする気だ……!?」
空中に吊り下げられ、為す術もないルワンの困惑に構わず、セレイは飛行速度を一気に上げる。
この瞬間、ツバサビトの少女は風と一体化した。
少なくとも、そんな気がした。
三騎の鉄甲騎、その突き合わされんばかりの胸部装甲の間を、セレイは一気に飛び抜ける。
直後、ディアブラの巨大な剣が突き出される。
それは、セレイらを狙ったわけではないが、その巨大な鉄の塊である剣は、飛び去る二人のすれすれのところを通り過ぎていた。
轟音と衝撃を伴う突風が吹き荒れ、一瞬、バランスを崩しそうになるものの、どうにか保ち、セレイは戦場から距離を取る。
「やった!」
「……こ、このままリラと合流しよう」
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