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馬車の側――
「お頭、[商品]どもが逃げてしまいます……お頭?」
助け起こした腹心の呼び掛けに、暫し呆然としていたスレイドラは、突然、狂ったように笑い出す。
「ふふふ……はぁーっはっはっは……!!」
「……お、お頭!?」
「許さない……私を虚仮にすることなど、絶対に許さない!!」
爆笑から一転、怒髪衝天の叫びを上げるスレイドラ。
「あの鳥娘ぇ――――――!!」
程近くでは、サタナーンと鉤爪騎の決着がついていた。
激闘を繰り広げた末、鉤爪騎の右腕を左腕で挟み込み、その自慢の大爪を引き千切りながら地面に蹴倒し、大きく開いた腹部の関節に折れた剣をねじ込んでとどめを刺す。
サタナーンが立ち上がると同時に、敵機の腹部が蒸気爆発を起こす。今の剣による一撃で焔玉機関と直結していた汽罐部が破裂したのだ。
「どうにか仕留めたな……」
「すぐに機関を調整し直します。その後、ディアブラの方に……」
満身創痍で勝ち取った勝利に一息ついた操縦士と機関士だが……
転瞬、機関室の天蓋が開いた。
それは、憎悪に歪んだスレイドラであった。
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