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勢いとは恐ろしいものである。
鉤爪騎をどうにか下したサタナーンに駆け寄り、あっという間にその肩部の上によじ登り、背部機関室機の天蓋を開いて操縦室を覗き込みながら怒鳴り散らしたのだ。
「奴等を追いたまえ! 絶対に逃がしてはいけません!!」
「でも、味方の支援は……!?」
周囲では戦闘が再開されていた。
しかも、機関銃による攻撃を失い、人狩りどもは、今度は完全に数で押されていた。見ると、白兵を挑もうというのか、敵の幾人かが岩場から滑り降り、手に手に剣や斧などを構えていた。
もう一方の鉄甲騎戦もまた、ディアブラが小型機と鎚矛の脚甲騎の二騎を相手に、未だ苦戦していた。
それでも、周りの見えなくなった頭領は長銃を構え直し、狼狽える目で自分を見上げていた操縦士と機関士にその銃口を向ける。
「聞こえなかったのか!?……奴らを追いかけたまえ!!」
「わ、わかりました!……おい、戦闘巡行から走行に切り替え、機関出力を上げろ!」
「りょ、了解!……接続切り替え、圧力上昇!」
戸惑う操縦士と機関士に操られた鉄甲騎は、肩に頭目を乗せたまま走り出す。
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