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他の子供達にはサンダルが足に履かされているのだが、彼女だけは裸足であった。
だが、セレイは気にしていない。
――アタシに合う履物なんて、どうせ無いし……
そう言って自分の足に目を向ける。それは、明らかに鳥類の足爪だ。これでは人間用の履物など、身に着けることは出来ない。それどころか、セレイの足にだけ、錘が二つも着けられていた。
――この錘さえなければ、[飛んで]逃げられるのに……
セレイは自分の両腕に目を向けた。
その両腕は、足爪同様に鳥類の特徴そのものである[翼]だった。
髪の色と同じ赤茶色の翼は、本来であれば、先端の白い羽により美しさが目立つはずなのであるが、それは手入れが行き届いていない為か、惨めに痛んでしまっていた。
その様子は、セレイの心の内を表わしているようだった……
――もう、空に帰れないのかな……
悪人どもの[商品]にされてしまった[人ならざる子ら]を乗せた馬車は、主街道から外れた田舎道を進む。
目立たぬように――
隠れるように――
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