翼持つ少女の旅立ち

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 異種族と云っても、その姿は様々である。  ひとつは、若干程度、外観が人とは異なるもの。  例えば、背が高くて耳が尖っている、とか、あるいは、成人でありながら一見、子供にしか見えないもの、または、肌の色が(白、黄、黒、褐色以外で)明らかに異なるなど……  それらの種族は、人族に紛れてもわからないことが多いため、異種族としてみられないことが多い。  もう一つ、こちらは明らかに人間とは異なる種別の存在がいる。  まず、異種族の中では比較的数の多い〈ケモノビト〉――  動物類の特徴を備えている人型種族で、現在確認されている中では猫や虎、希に獅子などの特徴を持つ〈ビョウ〉、狼や犬系の特徴を備えた〈ロウ〉の二種類に区分される。基本は人族のシルエットを持ち、それでいて全体は体毛に覆われ、尾を生やし、ほぼ獣そのままの顔を持ち、ごく希に亜種として、人族との混血、またはその|隔世遺伝《》で、人族に耳、尾が備わるだけの外観を持つ個体が生まれることもある。  彼等は優れた身体能力と強靱な体力を持ち、肉体的には人族を上回る存在であるはずなのだが、反面、苦手な面も更に強調されるらしく、その上、(知能が劣っているわけではないが)発想力、そして(人族が時折、不必要なまでに抱くような)野心などに若干乏しい面もあり、最終的には人族を越えることは出来ないようだ。  その他にも、〈ギガス〉と呼ばれる無頭異形の巨人や、最近ではそれより巨大な人間型種族の目撃例も報告されている。    この大陸には、未知、未確認の種族が未だ、存在するらしい。  そんな種族には、セレイをはじめとする、〈ツバサビト〉と呼ばれる種族も存在していた。
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