翼持つ少女の旅立ち

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 ツバサビト――  人の形を保ちつつも、猛禽類(もうきんるい)を思わせる翼と尾、羽毛に覆われた大腿部を含む下半身と、鉤爪突きの足を持つこの種族が誇る特徴は、その外観通り、自由に、そしてより早く飛行することが出来る。その速度は早馬の三倍にも及び、優れた視覚で発見した獲物に素早く追いつき、足の鉤爪で確実に捕らえる、生まれながらの狩人である。  その反面、小翼羽(しょうよくう)に当たる部分から伸びる指先はお世辞にも器用とは云えず、道具の使用や複雑な物を生産することは、些か不得手である。  ツバサビトはギガスと並び現在でも原始的な生活を続けている。  気ままに飛び回り、その日の糧を自ら探し出して捕まえる。  余計な物は何一つ必要としない。  故に、彼等にとっては、古の文明とか、人間達の現状など、どうでも良いことであった。
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