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広大なゴンドアの大地、西は西方列強、東は〈ラ〉の国々、一説ではこの先の〈イズル〉までを結ぶ〈絹街道〉――
貫かれた形の中原諸国に依り、絹街道を中心に補佐、利用する形で整備された通称〈銀街道〉は、様々な呼び名を与えられながら、時に無数にある〈田舎街道〉を通じ、中原全土に渡り分岐し、西方、東方は元より、北はグランバキナ、南はトバンをはじめとする南方の国々まで深く広く広がり、文字通り血管の如き役割を果たしている。
道は、時に様々なものが往来する。
それは、時に交易品、時に金銀財宝、或いは文化、文明、そして、戦争など……
これら街道は、人々の栄枯盛衰を幾年にも渡って見つめ続けていた。
そんな街道の一角に、人狩りどもが経由地として選ぶ羽目になった、〈ホド〉という宿場町は栄えていた――
銀街道沿いにいくつか点在する宿場町の一つで、北はウル山脈、南はベノレス峡谷と云った難所に挟まれる中、東は中原諸国、延いては〈ラ諸国連合〉、西は西方の大国〈クメーラ王国〉へとそれぞれ伸び繋がる。
そのホドの街に、武装した鉄甲騎と騎馬の一団が訪れた。
この日、自分たちが、これまたセレイ達の運命を大きく変える存在となろうとは、この一団の長である〈ウーゴ砦守備隊〉大隊長イバン・トノバ・ウライバは、やはり知る由もなかった。
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