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ルピの光
「何か、聞こえないか?」
夕方近くの馬車の中――
ルワンの耳がしきりに動く。
「え? 馬車の走る音と喧しい機械の音しか……」
リラの言葉を遮るように、今度はセレイが、
「うん……いつもの鉄の巨人の音以外に、何か聞こえたような気がする」
「お前も、気付いたのか?」
その言葉に、ルワンにも同じものが聞こえたことをセレイも知る。
元より、ケモノビトの中でも〈ビョウ〉、そしてツバサビトは、視覚、聴覚が人間のそれよりも優れている。そして、ハーフとは言え〈ロウ〉であるリラもまた、
「そう言えば、いつも感じている以外の[油]の匂いが僅かにします……」
そう、嗅覚に長けているのだ。
不安な表情を浮かべる三人に、ルピもまた、怯えた顔になる。
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