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それでも、ここで気後れするわけにはいかない。
「……貴様達は何者か!?……我らをクメーラ王の使者であることを知っての狼藉か!?」
ここに来て、未だ貴族の振りを続けたスレイドラによる、勇気を振り絞った誰何への答えは、賊による一斉射撃だった。
そして放たれた銃弾は、迷うことなく二台の馬車を引く馬全てに雨の如く襲いかかる。
敵は、確実な足止めを狙っていた。
鉛の豪雨に晒された馬は、嘶きを残してその場に崩れていく。
「お頭!……あいつら、こっちが何様でもお構いなしの連中ですぜ!?」
テンプの苛立つ言葉に、スレイドラは間髪入れず指示を飛ばす。
「……奴等、私達が何を運んでいるのか、知っているのかも知れません……
やむを得ん、応戦しなさい! 鉄甲騎と機関銃を前面に出すのです! こっちも形振り構うことはありません!!」
突然の銃撃に右往左往しながらも、頭目によって発せられた反撃の下知に、テンプを始め、手下どもも肩に担いでいた長銃を構え直し、それぞれに発砲する。
「機関、戦闘出力に切り替え、復水装置を停止する」
「よし、蹴散らしてやる!」
人狩り側の鉄甲騎が、それぞれ背中、腰から剣を引き抜いた直後、辺りに強烈な地響きと同時に、振動と土煙が辺りを襲う。敵の鉄甲騎が岩場から飛び降りたのだ。
それぞれ、一行の前、即ちディアブラに二騎、後ろ、こちらはサタナーンに一騎が降り立ち、挑み掛かってきた。
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