104人が本棚に入れています
本棚に追加
「畜生、男なら一対一で来やがれ!」
一行の前方を守っていたディアブラは、二騎を相手に苦戦する。
襲いかかってきた敵騎はそれぞれ、短槍を装備した小型機と、鎚矛を手にした標準的な機体で、両者とも明らかに鉄甲騎ではなく、下位の脚甲騎ではあるが、それは実の所こちらも同じである。
操縦士の叫びを無視した敵騎は、鎚矛騎が手にした得物を振り回してディアブラを牽制、その隙を突いて、小型機が足回りの良さを活かして後方に回り込もうとする。
「後ろに行かれたら、ひとたまりもありませんよ!?」
「狭い峡谷だ、抜かせねぇよ!」
機関士の警告に奮起した操縦士は、巧に操縦桿と踏板を操作し、自騎ディアブラの足を止めることなく、振り下ろされた鎚矛を剣で防ぎながら、同時に、後方へと回り込もうとした小型機の前方に立ち塞がり、その動きを阻む。
目論見を砕かれた二騎は、今度は正面から、ディアブラに攻撃を繰り出す。
迫り来る鎚矛を剣で受け流しながら、その脇から突き出される短槍を躱す。
「やっぱ、二対一は分が悪いぜ……」
激しい金属音が響く中、操縦士は、敵の攻撃を必死に捌きつつ、受像器越しに敵の隙を窺っていた。
最初のコメントを投稿しよう!