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もう一方……後ろを護衛していたサタナーンには、やはり脚甲騎であろう機体が、鉤爪のある長い右腕を振り下ろす。
見た目だけ騎士の形を成した脚甲騎は上半身を右に回しつつ、左腕を前方に出し、迫り来る相手の腕にぶつけることで、その爪による斬撃を防ぐものの、思わず一歩後退る。
「左腕駆動装置に異常! 予備回路に接続!」
「何て膂力だ!?……一度距離を取るぞ!」
攻撃を受け、損傷を受けた箇所を瞬時に確認し、対処する機関士と、相手の力量を咄嗟に見抜き、すぐに戦法を切り替える操縦士、そこは、流石に修羅場を潜り抜けてきただけのことはある。
後方へと跳び退るサタナーンに、鉤爪騎は無闇に襲いかかることはせず、出方を見るように、身構えたまま動きを止める。
その様子に、機関士は、
「……予備回路、正常作動……戦闘出力維持……敵は、それなりに腕も立つようだ……」
「だが、見た目通り、動きは鈍重だ。剣のリーチを活かせば、見た目だけの爪なんざ、どうってことねぇさ!」
そう答えながら、操縦士はいくつかの接続器を切り替えてから操縦桿の引き金を引き直す。その操縦を受けたサタナーンは、剣の構えを、水平に振り回す為の姿勢から、胴を僅かに左回転させ、敵に切っ先を向ける、突き出す動作に向いたものへと変じる。
やがて、二騎が同時に駆けだし、剣と鉤爪が激突、火花を散らす。
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