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二丁とも、射手を守る広めの防楯が取り付けられている。
「ぶっ放してやるぜ!」
「鉛玉の雨あられだ!」
二丁の機関銃が同時に火を噴き、崖の上の賊が慌てて影に伏せた直後、岩肌が土煙に包まれ、山ほどの鉛玉が沢山の弾痕を刻む。
中には、その銃弾により砕かれた岩もあり、それによって晒された族は慌てふためき、更なる安全地帯を求めて右往左往する。
命中精度が悪いのか、機関銃乱射に依る実質的な戦果は見られないものの、牽制としては充分、役立っていた。
そんな中、こちらも長銃で反撃しつつ頭目は、テンプを呼び寄せる。
「どっちみち、多勢に無勢です。ここは、機を見てこの場からの脱出を計りましょう。この際ですから、あのアールブだけ連れて行きます……」
そう言って頭目は、銃弾を避けながら、[櫃]型の馬車に向かう。
「いいんですかい? 他の亜人も、大事な商品ですぜ!?」
テンプの不満に、スレイドラは口惜しそうに、
「残りの子供達も見た目はそれなりです。うまくいけば、連中はそちらで我慢してくれるかも知れません……アールブだけで捌いても、儲けが出ないわけではありません。正直、苦しいですが……どちらにせよ、馬車が使えない以上、[荷物]は少ない方がいいですから……」
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