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その時、そのリラの言葉を聞いたルピが、その場に蹲る。
「ルピちゃん?」
その様子に気付いたセレイが様子を見たとき、この小さな妖精は祈るような仕草を見せ、そして……
「……光っている?」
そう、ルピの胸元、正確には、その前で組まれている両手から、青い光が漏れているのだ。
何が起こっているのだろうか……
状況が理解出来ず、固唾をのんで見守る全員の前で、ルピは再び立ち上がり、胸元で組まれた両手をリラに向けて差し出す。
「これって……?」
リラの目には、それが蒼玉に見えた。
淡く、優しい光を放つそれは、実体を持たない朧気なものであったが、明らかにリラの感性は、それが蒼玉と同じものであると告げていたのだ。
「ツカッテ……?」
精一杯伸ばされた、小さな手の青い光に目を奪われたリラであったが、すぐにその意味を理解してしまう。
コダマビトは、自らの〈命〉を代償に蒼玉を生み出す――
「やめてルピ!……そんなことをしたら、あなたが……!?」
自分が迷信だと思っていた事が真実として目の前で起きていた。
しかし、今のリラにとってそれはどうでも良いことである。
見ると、僅かだが、ルピの身体が僅かではあるが縮んでいるような気がする。
もし、この状態が続けば、この小さな命が消えてしまうだろう。
それでも、ルピは「ツカッテ……」と繰り返すばかりである。
「ルピ……あなた……?」
この小さな妖精は思った。
自分を心配し、いつも寄り添ってくれるリラ……
自分たちを逃がそうとしてくれたルワン……
震える自分を、翼で抱いてくれたセレイ……
みんなに助けられてばかりの自分が今できることと言えば、リラの心象具現に――全員が助かるかも知れない方法に力を貸すこと……
――みんなが助かるのならば、命を少し削るくらい、何でもない……
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