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「そのまま北に逃げろ!」
そう叫んだルワンは、そのまま馬車の屋根に登る。その上には、機関銃を一心不乱で打ち続ける御者の後ろ姿があった。
「どけ!」
不意を打ち、ルワンの回し蹴りが炸裂し、悲鳴と共に御者は地面へと落下する。それを見届けたルワンは、今度は自分が固定された機関銃の引き金を引いた。
「……喰らえ!!」
ルワンは、暴れる機関銃の銃口を、地上で反撃を続ける人狩りどもに向けた。
「そら、踊れ踊れぇ―!!」
「ひぃ――――――っ!!」
「お助け―――――っ!!」
その鉛の雨あられは命中することはなかったものの、足下で跳ねる銃弾に人狩りどもは混乱に陥る。一方、その敵対者である賊は、何が起きたか理解出来ず、呆然となる。
そして、何故かリラまでがルワンの行動に驚愕する。
「そんな……ルワンさん!?」
「俺が援護するから、お前達は先に行け!……この先に、連中の馬が居るはずだから、それを奪うんだ!!」
「ルワンさん…………」
実は、ルワンの行動は段取りになかったことであった。
「いいから走れっ!! 心配するな、俺も後から逃げる!!」
叫びながら、ルワンは機関銃を撃ち続ける。
「きっと……きっとですよ!!」
「ルワン……!!」
後ろ髪を引かれるように、リラは走り出す。心配のあまり、いつまでもルワンに目を向けるルピを背負っているが、それでもハーフとは云え〈ロウ〉であり、その疾走力により、あっという間に馬車から遠ざかる。
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