翼持つ少女の旅立ち

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翼持つ少女の旅立ち

 〈ゴンドア〉と呼ばれる大陸があった。  魔物、侵略、災害、兇賊……この大陸に於いて命を脅かすものは、様々な形で襲い来る。  跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する恐怖を克服すべく、かつて繁栄を極め、そして滅んだ、現在は〈前文明〉と呼ばれる往事渺茫(おうじびょうぼう)の彼方に消えた超科学文明の遺産を頼り、掘り返し、または[魔術]や〈火薬〉と云った代価品を作り上げ、生き延びる人々が暮らす大陸……  彼等人間達は再びこの世の主役に返り咲き、やがて〈飛龍〉と呼ばれる幻獣を駆使し、それらが失われると、今度は〈鉄甲騎(てっこうき)〉と称する巨大な機械の騎士を繰り出し、それらをこれまた巨大な飛空船に載せ、大なり小なり戦いに明け暮れる……  だが、そんなものとは無縁の者たちもいた。    そも、この大陸に生きる知性持つ生き物は人間――人族だけではない。  前文明崩壊後、これまで鳴りを潜めていたのか、それとも、突然誕生したのかは彼等自身にもわからない。  やがて、世界が認知せざるを得なくなったその存在は、人族の学者から、こんな名称を付けられた。  〈異種族〉と――
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