てんさらばさら

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てんさらばさら

てんさらばさら 暗闇の中、宿題を取りに戻った事を後悔している。木造二階建ての小学校に一人夜の校舎に忍び込んだ。 音の無い校舎は時折、ピシと音を鳴らす。駄菓子屋のお婆さんの所為でヤナリという怪異が想像出来てしまうことが余計に恐怖を与えていた。お婆さんに言われた言葉で嫌なことを思い出してしまったのは、教室で忘れ物の習字道具を見つけた直ぐの事だった。 視線を感じたのは教卓の下。 唾が喉を流れる音が無音の教室に響く。 「誰も居ないのに視線を感じる事はないか」 「そん時に後ろを見ても誰も居ないだろう。そりゃあそうさ」 「天井に張り付いているんだから」  上を見た僕は悲鳴をあげ、宿題を必死で握り学校から逃げ出した。その日、以来ヤツらを見つけるコツが掴めてしまったらしい。  動く金次郎  山の麓にある町と明記すると田舎町や水車のイメージが湧く、息を吸うと草木の香りが身体中に広がるような。水車の回る音や近くを流れる小川の音、田畑の続く先には大きな山があり、青が続く様に空へと繋がる。  そんな想像をしながらバスに揺られたどり着いた町。     
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