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圭介がこの町に来たのは、仕事である。他に理由こそあるが、鬼を探しに来たとそれを理由には出来ない。あくまでもそちらは趣味である。町の名産品は酒。神ごろしと言う名の銘酒くらいしか有名な物の無い町に観光では滅多に人は来ない。
五年生の担任が産休に入り田舎町で教師が足りないと、町から声を掛けられた。何色にも染まりたくないと無職を貫いていた圭介ではあったが、狐おにやまと呼ばれる名前に惹かれ天川中学校の教師となった。
教師の経験もある彼は、即戦力として、学校から依頼が来た。
無職期間に伸ばした髭は適当に剃ったため、今でも胡散臭さは消せていないが、大学を卒業し五年ほど中学で教師を務め、嫌になった。
人間関係が、嫌になった。
そこから無職生活が始まったが、学生時代から生真面目にアルバイトをしていた圭介は、無職になってから食べるものに困ることも無く、悠々自適に生活を送っていた訳だ。
悠々自適と言える様な生活は確かに、そろそろ貯蓄も少なく、このままではまずいとは、何となく頭にあった為、無碍に断ることもせず引き受けた。
昔から、一人で百物語をするほど怪談が好きな少年ではあった。
妖怪変化と言えば根も葉も無い噂ではあるが、圭介の周りには昔から妖怪変化の類が寄り憑く。
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