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いや来栖!
メンドクサイのはわかるけど女はメンドクサイ生き物なんだよ!
思っても言っちゃダメだろな一言に、彼女の返事は言葉ではなかった。
パシーン!と気持ちいい音が聞こえたかと思ったら、カツカツと数歩ヒールの足音がする。
あ、やばい!
そう思った時には、目の前のミーティングルームの扉が勢いよく開かれて、私の鼻先を掠めた。
「うわっ!」
「きゃっ!」
向こうも驚いたのだろう、私と違って可愛らしい悲鳴だった。
目に涙を一杯貯め、大きな瞳を一層大きく見開いていて、ぽろっと目尻から零れて落ちた。
あ。
総務の花、戸川菜穂チャンだ。
めちゃくちゃ可愛くて愛想がいいって聞いた、けど。
次の瞬間にはキッと強く睨まれて、私の横をすり抜けて行った。
「サイテー!」
と残された捨てセリフは私か来栖かどっちに向けてのものだろう。
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