1.イベントの重要度

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「来た早々コレ扱いだよ俺……」 「傍から見てて温度差感じるんだもん、彼女はもっと感じてるよきっと」 「……温度差ねえ」 ぼそっと呟きながら、少し思い当たる節でもあったのだろうか。 俯いて少し考え込み、言葉が途切れた。 そのタイミングで、カウンターの上に置いてあった来栖のスマホが、断続的に振動を始めた。 つい目が行けば、「菜穂」と表示されている。 「ちゃんと謝った方がいいよ。あのままはよくない」 「わかってるよ」 口うるさいやつだと言いたげな視線が飛んできたが、さすがに彼女をこのまま放置はまずかろうとわかっているのだろう。席を立ちながら親指を滑らせスマホを耳にあてた。 「……菜穂?」 意識して、なのかもしれないけど、ミーティングルームで聞いた声とは比べものにならないほど柔らかい声でほっとする。 「いや、俺も悪かった。ちょっと待って」 席を離れて店の外へと出て行く一瞬、優しい微苦笑の横顔を見た。
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