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「おはよ……え、なにこれ」
来栖から、A4サイズくらいの紙の手提げ袋を手渡された。
見ると、中には個包装のお菓子がどっさり入っていた。
「限定ものの味とか季節ものとか、今出回ってるの集めてきた」
「え」
「画像や情報だけ見てるのと現物見るんじゃ、全然違うだろ。きっかけになればと思って」
相変わらずにこりともしない。
飄々としてそのまま自分のデスクに座りパソコンを立ち上げると、さっさと仕事を始めてしまった。
私は袋の中身に再び目を落として、それからもう一度来栖の横顔を見る。
え。
これってつまり、昨日私が悩んでたクリームブッセの企画の為に、持ってきてくれたってこと?
「あ、ありがとう。助かる」
「おう。俺はスランプの時そうしてるだけ」
そういえば、私も最初、ホントに何にもわからなかった頃はよくそうしていた。
バッグの中から、お菓子を一個一個出してデスクの上に並べていく。
次第に何かくすぐったい気持ちになってニヤニヤ笑っていると隣から舌打ちが聞こえてきたけれど。
何にも気にならなかった。
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