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カチカチカチ、と壁掛け時計の秒針が時を刻む。
今まで、この男と一緒にいてこれほどその音が耳に障ったことがあっただろうか。
沈黙、無言という空間に縁がなかった、ふたりで居る時は。
何かを言わなければ、と気持ちばかりが前に出る。
それは彼も同じなようで、唇が躊躇いがちに開いては、また噤む。
私の指先を掴む彼の手に、きゅっと力が込められて、数秒後。
「―――」
これまでどれだけ彼に悪態をつかれようと
この時のたった一言ほど胸に響いたことはない。
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