1.イベントの重要度

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先日、誕生日を迎えた。 今現在彼氏もおらず、ましてや今年は週の中日ということもあって、友人や親からメッセージが飛んできた程度であっさりと終了した。 広瀬結(ひろせゆい)二十七歳。 大学を出て、大手洋菓子メーカー、企画営業に身を置き五年が経つ。 最初の一年は勉強ばかりだったが、二年目に初めて自分の企画が商品化した時は、途方もない達成感があった。 試作品が出来た時は勿論、パッケージの完成品が出来た時、店頭で見つけた時、といちいち画像に収めて今もスマホのアルバムに残っている。 それからは、次から次へと頭に浮かぶイメージを企画書に反映させて、その全部が商品に繋がったわけではないけれどとにかく仕事が楽しくて仕方なかった。 近頃は若干、低迷気味だ。 幾つ企画を上げても中々通してもらえない、どころか会議に上げてもらえずにボツになったものもある。 決して、今までも飛びぬけた実績があるわけではないのだけれど。 こうも上手くいかないことが続けば、さすがに気力も萎えてくる。 スランプだろうか、と考えれば、その原因に思い当たる節はあった。 決して、仕事がうまくいかないことを誰かのせいにするつもりはないけれど、人員の入れ替えがきっかけでオフィス内のデスクの並び順が変わったのだ。 私の調子が狂ったのは、彼が右隣に座るようになってからだ。 同期入社の来栖和真(くるすかずま)。 私は以前から、彼のことがすきじゃない。
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