1.イベントの重要度

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大体、見た目からして出来すぎている。 すらりと高い身長、手足も長くてスタイルがいい。整った顔立ちに艶のある黒髪は、短く整えられて前髪は少し長め。 ただ涼しげな目元そのまま、性格も涼しげな奴だった。 いつのまにか同期で誰よりも商品化に貢献している。 昨年、彼が企画したバレンタイン商品がここ数年一番のヒット作となった。 誰もが羨む実績を涼しい顔で着々と積んでいる。 そんな男が隣に居たら、どうしても劣等感が湧いてしまう。 どんな仕事の仕方してるんだろう、と気になって気になって、調子を狂わされてしまったのだ。 それに、来栖を好きになれない重要な一面が仕事とは別のところにある。 見目も良し、仕事もデキる、そんな男がモテないはずはない。 だが、彼は女に対してもその冷気を遺憾なく発揮する、と専らの噂だ。 「どうして仕事入れちゃうの!?」 廊下を歩いていると、ミーティングルームから責めるような女の声が聞こえてくる。 あまり聞き覚えのない声で、どうやら企画営業の人間ではなさそうだ。
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