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「入れたんじゃなくて、入っちゃったものは仕方ないだろ」
聞こえて来た声は、来栖くんのものだった。
彼女の声と真逆の温度だ、間違いない。
って、いや別に冷たい声だから来栖和真、と気付いたというわけでもないけれど。
冷静で落ち着き払った声は、明らかに感情的な彼女にはきっと余計に腹が立つものだろう。
彼女相手にも、いけすかないそういう喋り方をしそうだと勝手なイメージを持っていただけなのだが、そう外れてもいなかったようだ。
「入っちゃった、って……誕生日なのに! 前からずっと言ってたよね? 夜くらい空けられないの?」
「……夜は打ち合わせの後そのまま接待になる。忘れてたのは悪かった」
あああ。
忘れてたって言っちゃったよ。
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