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「接待って何時に終わるの」
「わからない」
「わからないって、ちょっとは予測つくんじゃない? 私待つし」
「いつになるかわからないのに? そんな無駄な時間使うなよ」
「無駄って……ひどい。ちょっとでも一緒に居たいって思うから」
「悪い意味に受け取るなよ」
「じゃあどういう意味よ!」
彼女の声が、金切り声に変わった。
私はおろおろと周囲を見渡す。
時刻はもう定時を過ぎてて、私も後は帰る準備をするだけだった。
おかげで通路はあまり人はいないけれど、さすがにミーティングルームで痴話げんかをやってるなんて知られたらまずいでしょ。
早く彼女を宥めるのだ、とそう言ってやりたいけれど口を出すわけにも行かないこの状況。
ミーティングルームから聞こえたのは、この上なく重く長い溜息と。
「……めんどくさ」
ブリザード吹き荒れる一言だった。
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