夏から秋へと変わり

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 根岸は、翌日も引き摺っていた。ぷくりと頬を膨らまし、しっかりと拗ねている。  何度も俺に、必ず帰ってくるから、仕事に行ってくるだけだからと言った。早朝、俺が仕事に行く頃に起きてまで言って来たのだ。彼は本気なのだろう。  どうしてそこまでと思ってしまう。ここにいたっていいことなど何もない。しいて言えば、家賃が浮くくらいだ。  現代人らしい最低限の生活すらできない部屋の何がいいのか。  ほとほと困ったがどうすることもできず、今日も仕事に精を出した。  仕事と仕事の合間に部屋に帰れば、またメモが置かれている。  ケンカ中でもそういったことはちゃんとしてくれるようだ。内容はしっかり拗ねているが。 「あー……ほんとバカだな」    馬鹿だ、俺も。  ただ保護してやっただけなのに、こんなにもこいつに参っている。可愛いと想っている。  こいつに、癒されたいと思っている。  思わず握りしめてしまったメモ用紙は無残にもぐちゃぐちゃになってしまったが、それを綺麗に伸ばして引き出しにしまった。
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