いつもの平穏《 さわがしさ》

2/16
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
朝の7時30分。美咲は洗面台の前にいた。  制服のリボンの位置を直し、前髪を整え、ニコリと笑う。 「よし! 行ってきます!」  勢いよく玄関を飛び出した。4月の空は、気持ちよく晴れ渡っている。雲はゆっくりと流れ、太陽は燦々と輝く。すぅっと深呼吸すると、新鮮な朝の空気が、鼻腔を通って全身を満たす。 「あ~っ! 最高!」  この朝の空気が美咲は好きだ。。夜の汚れを洗い流した様な空気が大好きだった。  目一杯深呼吸をして、美咲は駅に向かって走り出した。 「よっ! 美咲!」 「紫乃! おはよ!」  紫乃は、小学校からの友達。顔も小さく、声も可愛い。オマケにスタイルも良くて、かなりの美人。 ……いいなぁ、私と違って。  しかも性格までいいから非の打ち所のない。 「はぁー、今日も可愛いなぁ紫乃」 「もー、美咲もかわいいって」 「……紫乃に言われても嬉しかぁない」  美咲は舌を出して独りごちた。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!