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「今日って3限、数学だっけ?」
「違うよ~体育でしょ」
「そっか、そうだったわ」
定刻通りに電車が来る。2人は、ドアが開くと乗り込んだ。途端、車内の視線が2人に集まる。美咲は痛いほどに感じた。別に自分にではないのは、美咲も重々承知している。そう、これは紫乃に対しての視線だ。男性の視線のみならず、女性の視線まで集めてしまうのは紫乃の外見のなせる技だ。
(まぁ、女性の視線には妬み嫉みが混じってるけどね、だいぶ)
美咲はついつい反応してしまうが、紫乃は何処吹く風。いつも通り平常運転だ。
「……でさぁ、3組の木村くんなんだけどさぁ」
「ん? 何だって?」
「もー聞いてないでしょ? ぼーっとして」
「ああ、ごめん、木村くんがなんだって?」
「そーそー、その木村くんがね……」
いつもの、朝の風景を乗せて、電車はガタゴトと進んだ。
『福崎~福崎~』
電車は学校の最寄り駅に着いた。
「そーなん? 今田と成岡さんが!?」
「そーなの! 今田と成岡さんが!!」
車内でとめどなく話していた恋話はまだまだ続き、2人は喋りながら自動改札機を通った。
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