いつもの平穏《 さわがしさ》

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 4限の現国が終わり、昼休みを紫乃とのんびり過ごし、途中、紫乃にやってくる告白の仲介や、観戦をし、5限の地理、6限の数学をやりこなして、美咲はとある部屋にいた。 「美咲せんぱーい、ここなんですけど……」 「あー……あたし絵は専門外だけど、ここのデッサン狂ってるかも」 「あっほんとだ! ありがとうございます!」  ドアの外側には、[漫画研究部]の看板。そう、ここは漫画研究部の部室だ。大量の漫画に資料集。書き終えた原稿の束やトーン。画材が所狭しと積んである。広めの部室だ。パーテーションで区切られている理由は、小説班と漫画班に分かれているからだ。この漫画研究部は、文芸部も兼ねている。その方が何かと便利だからだ。 「ねー美咲ー、なんかいい話ない?」  カリカリとペンを走らせる美咲に声をかけてきたのは、漫画班の成岡だ。 「んー? そうだねー、こんなんは?」  美咲は、自分の机に積まれた書類の束から、ひとつ引っこ抜いて成岡に渡した。 「……超能力バトルもの……へぇー! いいじゃん!」 「1作500円になります」 「へーへー」  成岡は美咲に500円玉を渡した。 「まいどー」  漫画班はネタが出てこないと、小説班にネタを貰いに来る。小説班は自身のネタを売れるので持ちつ持たれつの関係性だ。
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