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代償
夕飯の後、広間を寝室に解放してもらい、僕達は床に着いた。
本格的に降りだした雪が音を吸い込むのか、不気味な程静かな夜だった。
「でもよ。大袈裟じゃねえのかよ?本当に麓に帰れない程降るのかよ?」
いざ寝る段になって、山中先輩が小声でそんな風に話し掛けてくる。
夕飯を頂いている最中、やはり出来れば帰りたいと桜さんに確認したのだが、再び不思議な話をされた。
「…そんなに降りますか?3月後半なのに…」
そう言う僕の質問に、桜さんは当然のように答えた。
「うん。昔から芹が御山を見回った時は、必ず大雪になるから。あのコが予報を外した事無いし。」
また芹さんの話題が上る。
「昔から不思議なコなのよね。嘘も通じないし。まぁ主様の寵愛を一身に受けてるコだから。」
そんな話をされた。
ただ、そんな話しで余所者の僕達が納得出来る訳がなく…
「大体、麓まで歩いて6時間とか、そりゃあのじいさんの足ならだろ?一緒にすんなって話しじゃねえの?」
と、先輩はひたすら文句を言っていた。
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