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「主ら、雪山を舐めすぎだ。もう川や崖さえ判らねぞ。麓に向かう林道は、ガードレールさえ無いんじゃ。」
言われて表を見ると、既に辺り一面銀世界だ。
しかも、まだまだ雪が止む気配は無い。
確かにこれでは、地元の人でもなければ、あっという間に遭難するかも知れない。
「なら!誰か一緒に行って貰えませんか!?里の人達なら土地勘もあるだろうし!」
僕はそう長さんにお願いした。
確かに今回の先輩の行動は、最初から最後までロクなもんじゃ無いが、だからと言ってこのままじゃ、先輩だけが最悪死ぬかもしれない。
そんな目に遭うほどの悪人でも無い筈だ。
だが、長さんの返答は冷たいものだった。
「断る。言った筈じゃ。ワシらは今晩は一歩も外に出んと。童歌でも歌われとるじゃろう。雪の夜は表に出るなと。」
「あ…」
確かに言われた。
しかし、人の命が掛かっているのだ。
何としても説得しなくてはと、再び話し掛ける。
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