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罪悪感で胸が痛い。
「…ありがとうございます。」
僕は3人を代表するように頭を下げた。
そんな僕を無視するように、先輩が彼女に話し掛けた。
「で?帰るにはどっちに行けば良いかな?お姉さんが案内してくれると助かるんだけど。」
あまりの態度と図々しさに、逆に感心してしまう。
巫女の彼女は一瞬悩んだ後、その小さな口を開いた。
「着いてくるが良い。」
言って、クルリと僕らに背を向け、先導して歩き出す。
「ありがとうございます!」
僕らは礼を言い、慌てて彼女の後を追い掛けた。
彼女はその折れそうな程細い身体で、雪の舞散る獣道のような道を、舞うように音も立てずに歩いて行く。
余程この山に慣れているのか、僕らの息を切らしながらの追走にも涼しい顔だ。
それでも彼女は案内を始めた責任からか、時折振り返り、立ち止まりながら僕らを先導してくれた。
そうして20分程歩くと、数件の家が立つ集落に案内された。
「おお!集落だ!」
声を上げる僕達3人に、彼女が集落を指差したまま口を開いた。
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