童歌

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「ゆ~きのよ~るはいえからでるな~♪ まほろのひ~めにおこられる~♪ まほろのひ~めをおこらすと~♪ もりからぬしさまおりてくる~♪ ぬしさまあったらかくごしろ~♪ たいかはいのちのほかになし~♪」  …長さんの家には小さな子がいて、囲炉裏で暖を取りながらそんな歌を歌っていた。 「…何の歌だい?」  子供の歌なのでちょっとよく解らないのだが…  僕の質問に、長さんの家にいた若い女性が答えてくれた。 「里に伝わる童歌よ。山の雪は深いから、雪の夜は出歩くなって言う戒めの歌。」  言って、子供を抱えあげる。 「水無月桜です。このコの母で、芹とは従姉妹♪」  そう自己紹介をされる。 「…芹…さん?」 「貴方達も会ったでしょ。主様に仕える巫女姫よ。」 「ああ!あの巫女の彼女!」  彼女の話題が出た途端、先輩の目の色が変わった。 「確かにスゲー美人だった!」 「天女かと思ったくらい!」  そういう山中先輩と直井の発言に、長さんが笑顔で語る。
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