第1章 契約の内容

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そして本田さんは、タクシーを呼んでくれた。 「送るよ。」 「いえ、そんな!」 「送らせて。」 そしてまた真っすぐな瞳で、私を見つめてくれた。 「君を抱く事もできない、家の近くまで送らせてもくれない。それじゃあ、今日来た甲斐がないじゃないか。」 「は、はい。分かり……ました。」 そんな情熱的な事を、この期に及んで言うなんて。 ずるい。 こんなんじゃあ、今日の夜にでも、電話してしまいそうになる。 二人でタクシーに乗って、私の家の方面へと、車を走らせた。 「……君は、どうして今日来たの?」 本田さんの問いに、息が止まった。 そう。 どうして、私はここに来てしまったんだろう。
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