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それは、弟の一言から始まった。
「えっ?頭が痛い?」
「うん。吐き気がするくらい痛いんだ。」
朝、まだ学生の弟・泰介がそんな事を言い始めた。
「どうしよう。病院に行く?」
「うーん。でも今の時期、学校を休む訳には、いかないから。」
弟の泰介は、大学受験をする為に、今まで以上に勉強に励んでいる時だった。
「勉強のやりすぎじゃない?」
「全然。これでも足りないくらいだよ。」
「念の為、お姉ちゃんの薬、飲んでおく?」
「うん。」
私は、痛み止めを泰介に渡した。
「ありがとう、姉ちゃん。」
「ううん。今日も勉強、頑張って。」
そう言って、泰介を送り出した。
それが、間違いだった。
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