予測不能

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なんでも、明日のコンペに使う資料を全く準備していないとのこと。そして、河合にこの仕事を任せていたチームリーダーの鳥山は、休みを取って彼女とバレンタインデートらしい。 ――…なんで、俺が…。 そう思ったけれど、コンペに万全を期さねばならないことは、敏生が誰よりもよく分かっている。このまま見捨てて帰ってしまうと、かなりの確率でコンペは失敗に終わるだろう。そして、河合が責められるのを見るのは、やっぱり可哀想だった。 …でも、この仕事をやっていると、何時に帰れるか分からない。駅でずっと結乃を待たせておくわけにはいかない…。 敏生はスマホを取り出して、結乃へとメールを打った。 『急な仕事が入って、今日は一緒に帰れなくなった』 教えてもらっていたメールアドレスを、こんなかたちで使うことになるなんて、敏生の落胆は計り知れなかった。 「…お前…、人の恋路の邪魔しやがって、タダで済むと思うなよ……」 敏生の本音が、ポツリと口を突いて出た。 それから敏生は、バレンタインのことはおろか、結乃のことも考えるどころではなくなった。資料の準備に、河合は全く手を付けておらず、明日までに間に合うかどうか、かなり危ぶまれた。
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