約束

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「いつも…って、わけじゃないよ?」 「じゃあ、あさって。何時ごろ帰れる?」 『何時ごろ』と聞かれても、正確には答えられない。今抱えている山積みの仕事を思い返しても、今日と同じくらいかもっと遅くなりそうだった。 だけど、 敏生の本能がそう答えさせなかった。 「あさっては……。頑張れば、定時くらいには帰れると思うけど?」 「それじゃ、あさっても、こうやって一緒に帰ってほしいんだけど……!」 それがどういうことか想像する前に、敏生は舞い上がってしまっていて、もう思考停止状態だった。 「ああ、うん。いいよ」 ほとんど無意識で、辛うじて答える。すると、結乃も落ち着きなく、とりあえず頷く。 電車が結乃の降りる駅に到着し、彼女が席を立つと、その背中を追うように敏生の口から勝手に言葉が出てきていた。 「電車に乗る駅の、改札のところで待ってて!」 結乃は振り向くと、ほのかに笑みを浮かべてしっかりと頷いた。 電車を降りても背を向けて行くことなく、電車のドア越しに見つめてくれている結乃の姿……。敏生の胸にキュンと切ない痛みが走った。
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