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「いえいえ、人間を守るのもロボットの仕事。私は、あなたのようにあの子の痴漢冤罪の被害者の方に雇われたレンタルロボットでして、あの子を監視して、あの子の詐欺の現場を押さえるのが目的でして」
「あ、逃がしてよかったんですか」
「あの子の家や学校は分かっています。今回の一部始終も私のカメラが記憶しています。これを裁判所に提出して、あの子が痴漢冤罪を繰り返して示談金をせしめている詐欺の証拠とします」
「あの子の詐欺が証明されれば、我々の雇い主の無実は証明されるというわけです」
さきほどのOLっぽ女性も俺にそう言った。
「じゃ、あなたも、ロボット?」
「はい、監視は多いほうがいいですから。私たち二人で、ここ一か月ほど彼女の通学電車で監視していたというわけです。申し訳ありませんが、こちらとしては、詐欺の証拠が欲しかっただけですから、ついでに助けただけです」
「いや、しかし、本当にロボットなんですか?」
俺は、二人をマジマジと見つめた。
「我々を雇ってみたいですか。でしたら、こちらへご連絡ください。今回みたいな使い方以外のレンタルもできますよ」
彼女たちは会社名入りの名刺を俺に差し出して、にっこり笑って優雅に立ち去って行った。
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