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 雪は激しさを増していた。  そこにあったのは、暗くて寂しい交差点だった。あの忌わしい夜と同じ。    いつのまにか、信号機が消えていた。要司は思わず身を震わせた。  そしてそこに現れたのは、十八歳の要司だった。鉄砲玉のように、道路を横切って走ってくる。そしてその後に、兄の宗和。  強い人工的な光が、兄めがけて向かってくる。瞬間、要司は車から駆け出していた。  十八歳の自分と、すれ違いざま目が合った。要司は、ただ兄に向かって走った。  兄を救うために。そして自分自身を救うために――。  トラックが兄に突っ込む瞬間、要司はその懐かしい姿に向かって飛んだ。兄は大きく手を広げて、受け止めてくれたようだった。  その瞬間、要司の身体を強烈な光が突き抜けた。
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